とってもわかりやすい「健康経営?」。「ヒト・モノ・カネ・情報+健康」が当たり前になる世の中

法人向け

会社の目的って?

みなさんこんにちは。長崎県大村市を中心に活動している快眠デザイン研究所の古泉です。

突然ですが、会社を経営する目的は「適正な利益の確保」と言われます。では、それを構成しているものは何でしょう?

もちろん「ヒト・モノ・カネ・情報」です。順番はその会社によっても違うかもしれませんが。

私が、この快眠デザイン研究所を立ち上げたきっかけは、「これだけ医療や薬が発達しているのに、毎年精神的疾患の方が増えているのはなぜだろう?」と思うようになったからです。本来なら、単純に考えると、医療が進むにつれて病気の方は減るんじゃないの?と思うのですが、平成23年の時点で約320万人もの患者さんがいるのです。

引用:厚生労働省「精神疾患のデータより」

その中でもうつ病の患者さんが増えています。社会的環境と労働環境がなにかしらリンクしているのかもしれませんね。

健康経営って?

「健康経営」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。

健康経営の意識が高まってきた社会的背景

国が2009年ごろから言い出したことなんですが、日本はデフレ経済と言って不景気になっています。不景気になると会社は人員削減をまず行おうとします。すると会社に残された人達は今までよりも多く働かないといけなくなりますよね。

 

そして、会社の人件費の削減により、ブラック企業やワンオペ(1人で全ての業務を行うこと)、長時間残業といった労働環境が悪化します。

そこでは辞めることもできない、言われた通りやらないといけないという意識がついには自殺や労働災害などにつながっていくのです。

 

これが、労働者側、企業側双方においてデメリットだということが明らかに(顕在化)なってきたこともあり、従業員への健康配慮の必要性が高まってきました。

 

さらにはこんな健康保険の背景も

また、会社に勤めている方の多くは健康保険に入っていると思いますが、この組合が3,689億円(平成26年度)に達し、そのつけは企業が負担しているのです。

 

自分は元気だ!と思っていても周りの方の病院代が増えていっていることから、集めるお金より払っている方が多くなってしまっているということですね。

 

このことから、単純な話、従業員が元気になれば国の医療費も削減できるだろう。国の借金も増えずに済むだろう。

 

では、これを会社として取り組んでいるところには国からの支援をしよう。ということになったのです。

 

会社として従業員さんの健康管理ができれば、最終的に自分たちの生活にいい影響を及ぼしますよ。ということですね。

 

健康経営「企業から見た視点」

企業からこのことを見てみると、どうやらメリットとデメリットがあるようです。

今、どこの会社も潤っているというところは一部を除いてありません。利益が出てもそれを従業員まで還元できているところは少ないからです。内部留保しています。

このことが、安倍総理が「景気は潤っている、上昇傾向にある」といっても「社員の給料はちっとも増えてないじゃん!」の理由です。

企業としては景気の先行きが不透明だということもあります。

 

企業から見た場合、「ヒト・モノ・カネ」の「人」にフォーカスすると、人件費の割合が多いことは当然のことなんですが、会社に出てきても頭が痛い、気分が何となく乗らないといったことで、見えない損を出している(プレゼンティズム)社員がいたり、常習的に遅刻、早退、欠勤などをする(アブセンティズム)社員がいたりすると、会社としては打撃を受けてしまいます。

 

また、大事なプロジェクトを任されている社員がうつになったりすれば、見えない損どころか、大打撃を受けてしまいます。

このようなことから「健康経営」を取り入れる会社からすれば、取り入れること自体が「投資」になってしまいますが、大打撃を受けるような損失を回避できるというわけです。

 

「健康経営」を取り入れる最大の目的は「不健康経営による負のスパイラル」を「健康経営による正のスパイラル」に変えることです。

社員から見た健康経営

また、働いている側からみると「健康経営」に取り組むことでどういう効果が得られるでしょうか?

例えば、「毎日かなりの残業をしている」A君がいたとしましょう。

 

A君の仕事の流れは最終的にこうなります(極端ですがわかりやすく書いています)。

残業の増加→ 有給の非消化→ 家族との時間が取れない→ 仕事・家庭の悩みの増加→ ストレスの増加→ 仕事が思うように手に付かない→ 会社と家庭の板挟み→ 会社に迷惑がかかる→ うつの発症→ 退社→ 家庭内不和
個人的な考えですが、社長や役員は「仕事:家庭は9:1」でいいと思うんです。しかし、社員は「仕事:家庭は5:5」でいいと思うんです。でも、その5の割合が「やりがいがある:仕方なくやっているが9:1」なら最高だと思うし、社員も実際はそう思っていると推測します。
人はだれでも、認められたいという自己承認への期待があるし、気持ちが変われば「よし!やってやる!」とう自己実現の気持ちも持っていると思います。
それが、思うように行かず、さらに周りのフォローがない時に不健康になるんだろうと思います。
「健康経営」は実は社員を守るためのものなんです。

健康経営のメリット・デメリット

「健康経営」に取り組もうとした時に会社としては「投資としてはわかるし、社員はやっぱり大事だけど・・・」という考えになると思います。

もちろん、会社が思うように回っている時なら良いだろうけど。と思う気持ちも十分理解できます。

 

そこで、健康経営を推進する場合のメリット・デメリットについて考えてみましょう。

健康経営に取り組むメリット

従業員の健康保持・増進に取り組むことは、従業員の活力向上につながる
社員は「何もしなくて給料だけ貰えればそれでよし」とは思ってません。実際には周りの人間関係や悩み事は解消されないなど、様々な問題が起きた時に解決できないことが多いのです。健康経営を推進すると、社員の活力向上になります。
将来的な病気の予防になる
「出勤できない、早退しがち、欠勤してしまう」などは心身に以上をきたしています。健康経営を推進することによって健康回復すると、欠勤率の低下など社員の病気予防になります。
業務の効率化
人は活力が出てくると業務に前向きに取り組むようになります。前向きに取り組むことで作業の効率化をするようになります。今までは二人で行なっていた作業も一人で行えるようになったなどの効率化が実現すれば、その分だけ経費の削減になります。
企業価値の向上
健康経営を戦略的に取り入れることによって、健康経営銘柄や健康経営優良法人に選ばれるかもしれません。そして、それを社外に広く告知することができれば、企業の価値は高まります。
採用される側は採用試験の前に様々な側面から企業を見定めます。その中で健康経営を推進している会社であるということはそのまま企業の価値になります。
優秀な社員の採用ができる
今は優秀な人材が圧倒的に不足しています。社員に健康への配慮をしている会社はそのまま「働きやすい会社」ということになります。優秀な人材はただ「お金」だけで働くわけではありません。「働きやすい会社で自分の実現価値を高めたい」と思っています。

健康経営の取り組むデメリット

効果的な結果が数値化できにくい
今まで健康診断以外の対策をしたことがない会社では、健康経営を取り入れる際に、数値化ができにくいということがあります。
そのため、数値で見える費用対効果がわかりにくいということがあります。
取り組む時に新たな作業が増える
自分の情報を出すことに抵抗がある人や、新たな作業が増えるようになります。やらされていると思ってしまえばそれ自体が無駄な作業だと感じてしますことがありますので、注意が必要です。

まとめ

これまで健康経営によることを書いてきましたが、いかがだったでしょうか?

「組織は人なり」ということはわかっていても、すぐに取り組むには抵抗があるかもしれません。

 

特に中小企業は「それは大企業がやることでしょ?我々中小企業には関係ないかな」と言われることもありますが、大企業が取り入れていて、周りの中小企業が取り入れていないのであれば、逆に取り入れていくことによって企業イメージ、企業価値は高まるのではないでしょうか?

 

ぜひ、前向きに取り組んでみてください。社員も巻き込んで行うことがうまくいくコツかもしれませんね。

経産省は健康経営を推進する会社に様々な補助もしているようです。参考になれば幸いです。→経済産業省「健康経営の推進について」(PDFダウンロードできます)