私を引き戻してくれたあの一言
商売のやりがいを教えてくれたお客様との出会いがありました。
みなさんこんにちは。睡眠指導士の古泉です。
今日は今でこそ、こだわりの睡眠指導を行なっていますが、布団販売時代はそれはそれは、「売上第一」で働いていました。
布団はお金と交換する「物」で、快眠を売るよりもものとお金を交換する感じの仕事ぶりでした。
もちろん、販売業ですし、売上で従業員の給料や保険、税金を支払ったりするので、売上高は大切なものです。
「お客様の満足度=売上高」なんだとメンバー人も言っていましたし、私もそのつもりで販売していました。
しかし、「本当の仕事の喜び」はただ単に売上だけではなかったんだと思える出来事がありました。
売上だけに固執しすぎると大切なものが見えなくなる
みなさんも仕事をしていると思いますが、「何の為に?」と考えたことがありますか?
もちろん、お給料のため、生活のため、自分が豊かになるため、美味しいものを食べるため、他の大切な人を守るため。様々な意見があるかと思います。
売上をあげないといけない理由?
そりゃもちろん、「それが仕事だから」。答えは分かりきっています。
でも、少し客観的に考えてみると、僕はある時、「仕事のやり方」と「仕事のあり方」について考えるきっかけを作ってくれるお客様との出会いがありました。
そのきっかけは・・・。
大切なことを教えてくれたお客様
ある日、1人のお客様が来店されました。身長は160センチくらい、体重は40キロぐらいの40代後半のお客様です。
見た目かなり痩せているお客様でした。
そのお客様は見るからに「寝具とは違う心の病」で不眠状態でした。
聞けば離婚をされて、大切な1人娘さんを旦那の方に連れて行かれて、離れ離れになっているといいます。
正直「難しいタイプ」のお客様なんです。しかし、仕事として販売しないといけないのです。
経験上、かなりこのタイプのお客様の場合はクレームというか、返品になることが多いのです。それは、いくら適切な寝具を販売したとしても、不眠の原因が「心の病」なので、「全然眠れないじゃない!」とお叱りを受けることの方が多いのです。
私も正直、売りたくないという気持ちもありました。
結局、私は店の中でも高単価の寝具を一式提案して、お買い上げいただきました。そして「合わなかったら返品してください」と告げました。
心の中では、「合わなかったら返品してもらって、他店に行ってもらおう」と思っていたのです。早く縁を切りたかったと言った方が分かりやすいでしょう。
「4時間でいいから、途中起きずに眠りたい」というのがお客様の希望でした。
私を変えたお客様の一言
そのお客様が、3日後くらいに再来店されました。「やっぱりダメだったか・・・」という気持ちで接客に入りました。
・・・・。・・・・ドキドキ。
「おかげさまで本当に気持ちよく眠れました!」
なんと、そのお客様はぐっすり眠れたというのです。
私は自分が情けなくなりました。心の中では「快眠を手に入れてほしい」と思いながらも、どこかで「他人まかせ」にしようとしていたんですから。
その時から私の「仕事観」が大きく変わりました。
まずはお客様の望む結果に、120%で対応すること。売上作りはお客様が納得してくれた後に考えるようにすること。
これが私にとっての「仕事のあり方」になりました。
そのお客様が欲しかったのは、高級なお布団ではなく、ぐっすり眠ることでもなく、きちんと相談に乗って、話を聞いてもらえることでした。
実際、そのお客様は心療内科にも通院していらっしゃって、睡眠薬の話から自暴自棄になった話、娘に会いたい気持ちなど、私と2時間ぐらい話したことがよかったようです。
「あなたが聞いてくれたからか、なんかいつもよりも考え込まずにいれて、ぐっすり眠れた」とおっしゃっていました。
そんなお客様のことを、私は「めんどくさい客」だと決めつけていたのです。
今となっては思い出話ですが、その時は売上作りのためにお客様に寄り添うフリをしていたんだと思います。
商売は順序が逆なんだと思います。最初に売上が先行すると必ず売らなきゃいけないという気持ちが先に出てしまいます。
実際、商売というのは「私にできること」が先にあって、それがお客様の喜びとなった時に感謝代としての「売上」があるのだと思います。
今となっては、そのお客様は恩人です
それから何年もの月日が経ってしまいましたが、今の商売との向き合い方をガラッと変えてくれのがそのお客様でした。
そのお客様が今では恩人だと思えるようになっています。
あの時、あのお客様に出会えていなかったら、いまだに「売り方」にこだわっていたかもしれません。
人との出会いは必然とはよく言われることですが、本当にそうだと強く思えるようになりました。
「人は人によって磨かれる」これからも目の前のお客様に、私ができることを一生懸命伝えていこうと思っています。
どうぞ、これからもよろしくお願いいたします^^